3月からの新しい水際対策の緩和

3月1日から、ようやく水際対策が緩和されて1か月が経過しました。それまでの日本の水際対策は厳しく、まるで鎖国しているみたいだとの内外からの批判もありました。すなわち、オミクロン株が日本でも市中感染しており、水際だけを厳しくしても効果は薄い。ワクチンの3回目接種も次第に進んでいく。経済、社会、文化に与えるマイナスな影響を考えてそろそろ緩和すべきだという意見が高まったことなどがあります。

日本の水際対策は、一昨年11月にいったん緩和されました。その時には、私はコラムでその緩和について触れたのですが、すぐにオミクロン株の脅威が高まったことから、この時の緩和はすぐに取りやめとなり、再び厳しくなって本年2月末までその厳しい入国制限が続いていたものです。

今回の3月1日からの水際対策の新しい緩和策については、2月末にその方針が出され、入国時の検疫、隔離方法の緩和、観光目的を除く新規入国の受け入れ開始が公表されました。

緩和される新規入国者の範囲は、①として、商用・就労等の短期間(3か月以下)の滞在者又は長期間の滞在者(観光目的以外)、②として、①の滞在者で日本国内に受け入れ責任者がある者、となっています。
緩和の方針は出されたのですが、待機している人数が多いだけに、それが解消されて完全に以前の状況に戻るには、時間がかかると考えられています。すなわち、これまでに在留資格認定証明書の交付を受けて、日本での活動資格を認められたが、入国は差し止められ本国などで待機していた外国人が約40万人もいることがあります。このうち留学生は15万人以上、技能実習生は12万人以上です。
これに対して今回発表された1日当たりの受け入れられる入国人数は、増加されても現在1日7千人です。これは外国人新規入国者の数に日本人帰国者や外国人再入国者も含めた数です。外国人の入国を正常化するにはこの1日当たりの入国人数を格段に増やす必要があります。4月10日からは1日1万人に増やしていくということはアナウンスされていますが、さらなるスピードアップを期待したいところです。

また、新規入国の手続きですが、以前に昨年11月に一時開いたときは、関係省庁に入国のための申請をし、審査を経て認められたものだけが入国できるとされて、その審査に非常に日数を要し、提出書類も多く、関係省庁も一本化されておらず、大変だとの感触でした。今回は、ERFS(入国者健康確認システム)という手続きで一元化され、受け入れ責任者がシステムに入力すれば、ほぼ時間を要せず受付済証が返送され、その受付済証を本国で日本の在外公館での査証申請時に提出すれば済むように簡略化されています。
どちらかといえば、受け入れ責任者の存在が重要であり、事前の審査というよりは、問題があった時には事後的に受け入れ責任者の責任を問うことのように感じられます。
その他、上記の新規入国の手続きに在留資格等での優先順位を就けずに全て受付て処理することとしたことがあります。したがって手続きを迅速に進めることができるようになったと考えます。

今回の受け入れ緩和は、それに従って粛々と手続きを進め、これまで待たされてきた外国人の方々の入国が早期に認められれば、それに越したことはありません。

ところで、この水際対策の問題で明らかになった重要なことは、鎖国ともいうべき厳しい状況の中で、外国人の存在が日本の社会経済文化にとってその比重を以前にもまして大きくしてきているということが表面化してきたということです。

留学、技能実習、特定技能、経営・管理、技術・人文知識・国際業務、興行、文化活動などの在留資格で日本に来訪・滞在する外国人が、もはや日本に欠かせない存在であるということを改めて浮かび上がらせてきました。コロナ禍によって思いがけなくもたらされた事象は数々ありますが、この外国人の存在の重要性はその中でも大きなものであり、今後、外国との往来が正常化していく中で改めて思いを深くして行きたいと考えます。

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