ウクライナからの避難民について

4月に入りましたが、現在のウクライナの状況は極めて深刻であり、多くの避難民が出ています。

4月1日の時点で、国外には410万人が出国し、ウクライナ国内で避難している人を合わせると約1千万人となり、これは国民の4人に1人が避難民となっていることになります。国外に出国した410万人のうち、ポーランドには238万人が避難しており、ほかの人々はウクライナの隣接国あるいは欧州の各国に避難しています。

ウクライナ国民の避難について

(2022年4月1日時点)

日本は非軍事的な人道上の支援を行っていますが、これには、①日本に来たウクライナ避難民への支援、②多数のウクライナ避難民を受け入れているウクライナ周辺国への支援、③ウクライナ国内に留まって避難している人々への支援があります。
このうち来日するウクライナ避難民への支援としては、住居、就職、子供の教育、当面の生活費などの支援が必要とされます。

日本に在留しているウクライナ人は、昨年の統計で約1800人です。永住者、定住者、日本人の配偶者、留学生などです。日本に親族・知人のいるウクライナ避難民の中には、はすでに日本に入国している人もおり、これまでに約300人(4月1日現在)が日本に来ています。
これからどのくらいの人が日本に避難しようとするのかはわかりませんが、日本政府はウクライナ避難民の受け入れを表明しており、4月1日から林外務大臣がポーランドに赴いていますが、政府専用機で帰国する際には希望するウクライナ避難民を同乗させることも報道されています。

ウクライナ避難民の受け入れに際しては、旅券のない人には渡航証明書を発行し、査証としては短期滞在査証を発給し、短期滞在の資格で日本入国後に日本国内で在留資格「特定活動(就労可能)」の資格を付与し、在留期間の更新は可能とするものと考えられます。

ウクライナ国内での停戦がいつになるかはまだ分かりませんが、避難の必要がある間は日本での在留が認められることと考えます。

戦争「避難民」と、難民条約上の「難民」とは同一ではありません。
難民条約上の難民とは、日本国内で外国人本人から申請があり、当該外国人が難民条約に定める難民の要件を備えていると認められるときに難民として認定するものです。その者の国籍国の保護を受けられるか、迫害を受ける理由は何かが問題となります。

今回ウクライナ避難民は、戦争避難民として受け入れられるものですが、日本では戦争避難民のための独立した在留資格はないので、個別の事情により与えられる特定活動の在留資格で在留することになります。

最近日本が避難民として受け入れた事例としては、ミャンマーの軍部によるクーデターが起きた時に日本に滞在中で、クーデターの起きた本国への帰国を望まないミャンマー人に特定活動の在留資格で滞在を認めた例、アフガニスタンがタリバン政権になった時に日本に逃れてきたアフガニスタン人に特定活動の在留資格を付与した例があります。ウクライナ避難民についての支援を申し出る団体、企業、個人については、出入国管理庁のホームページに支援申し出の窓口の案内が登載されています。すでに数百件の支援の申し出がなされているとのことです。

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